病気・治療の解説Explanation

漢方薬について

漢方のかぜ薬

麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)
当院でもとも処方回数の多い処方です。麻黄(まおう)附子(ぶし)細辛(さいしん)の三つの生薬(しょうやく)が組み合わされた処方です。「湯」というのは、元来せんじ薬であったことからそういわれています。現在はのみやすい細粒として処方されます。いずれの生薬も新陳代謝を活性化して体を温める作用があります。さむけ、鼻水、のどの痛みなど、かぜ症状があり、強いかぜ薬が胃腸にあわないなど、体力の低下した高齢者を中心に処方されます。かぜ以外では、鼻水を主症状とするアレルギー性鼻炎で、抗アレルギー薬を好まれない方にも処方されます。
当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
麻黄附子細辛湯よりは処方回数はずっと少なくなりますが、処方目的が類似するためここに付け加えておきます。同じく体を温めるために処方されますが、冷えによる症状がさらに重く、しもやけや節々の痛み、頭痛、腹痛などがあるときによく効きます。
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
くしゃみ、鼻水を主症状とするかぜの処方です。これも体を温める生薬が主役となっていますが、体力の低下した高齢者や胃腸の弱い方には強すぎるため、処方するのを避けています。アレルギー性鼻炎で苦しんでいるものの妊娠や授乳のため、抗アレルギー薬は避けたいという女性にも処方できるので重宝しています。抗アレルギー薬の中には副作用として眠気が問題になるものがありますが、小青竜湯はむしろ頭をすっきりさせるほうに働くので、受験生にも安心して処方できます。
葛根湯(かっこんとう)
かぜの初期にタイミングよく内服すると、こじらせずに済みます。私も、かぜかなと思ったらすぐ飲むようにしています。但し、体力の極端に落ちた高齢者には合わないことがあります。
麻黄湯(まおうとう)
近年、インフルエンザの治療薬としての有効性が確認され、脚光を浴びている処方です。もちろんこの処方のみでインフルエンザに対処できるわけではありませんが、抗ウイルス薬の処方に副作用の面で不安がある場合に、まずためされてよい処方です。但し、狭心症や、胃十二指腸潰瘍の既往がある方には、注意して処方する必要があります。
小柴胡湯(しょうさいことう)
かぜがややこじれて、おなかの調子が悪くなってきたり、食欲不振のため体力が落ちてふらついたりする時期に処方します。この処方以下六つの処方は、当院で頻繁に処方されるものに含まれますが、柴胡(さいこ)を重要な構成成分として含んでいます。柴胡はリンパ球に作用して免疫を強化するといわれ、かぜをひきやすいなど免疫機能が弱っている方の体質改善薬としても処方されます。
柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
回復力が衰えているために、かぜがさらに長引いている高齢者を中心に処方されます。
柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
アレルギー性鼻炎の体質改善薬として処方します。柴胡の免疫強化作用と、桂枝の鼻粘膜自律神経安定化作用に期待しています。
荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
扁桃腺を繰り返し腫らす人の体質改善薬として処方します。
柴苓湯(さいれいとう)
この処方も柴胡を重要な構成成分として含んでいますが、風邪薬として処方されることはまれです。むしろ、体の水分の調節を目的として処方されます。耳鼻科医にとって重要な処方のひとつですが、滲出性中耳炎のところで詳しく説明します。
柴朴湯(さいぼくとう)
かぜの症状が長引いて、特にのどや気管の周辺に違和感がしつこく残るときに処方します。

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